
もう10年近く前、企業で人事職に就いていたときのことです。
その春に入社したのは
初めて自分の手で採用に導いた新卒社員たちでした。
総勢 64名。
選考の段階から繰り返し接点を持ってきた彼らが、可愛くてたまらず
採って終わりではなく
入社後も彼らのためにできることはないだろうか、と考えていたら
チャンスが転がり込んできました。
例年営業幹部が務めていた、受入責任者のポスト。
それを、未熟な立場にも関わらずゲットできたのです。
おかげで、入社時教育から配属先との調整、
その後のフォローアップまで携わることができました。
研修期間である最初の2週間は
担任の先生のごとくぴったりと張りつきながら、彼らと時間を共にしました。
伝えるべきことは多くありましたが
通例の研修内容とは別に、プログラムに組み込みたいものがありました。
現場に送り出す前に
どーーーしても彼らに贈りたいものがあったんです。
---------------------------------------------------------------------------------------
研修事業を生業としている私が言うのもなんですが
教育は、あくまでも成長を促進するための栄養剤です。
どんなに多くの時間を費やして、知識を習得し、思考を磨いたとしても
それを実践して「経験」に転換しない限り
ビジネスの場において、その学びが生きることはありません。
経験は、積めば積むほど、その業務に関するレベルが上がります。
経験 + 経験 + 経験 = 経験値獲得
例)プレイヤーとして優秀な営業マン
経験があると、教育という名の栄養剤が効きやすくなります。
経験値 × 知識・思考 = レベルアップ
例)プレイヤーとしての経験値 × 管理職育成研修 = マネジメントのステージ
経験値が足りないと、栄養剤が最大限の効果を発揮できないことがあります。
例)新卒新入社員 × 管理職育成研修 = ちんぷんかんぷん
経験と学びは相互に作用するので
適切なタイミングで、サンドイッチの様に挟み込んでいくことが
段階的に成長を遂げるためのポイントです。
経験値ゼロ。
新入社員が1名入ると「プラス1名」ではなく「マイナス1名」です。
教えることに人手が取られるからです。
即戦力にならない彼らが
多忙な現場の中に放り込まれても、取り残されること無く
着実に成長を遂げるためには、周囲からの支えが不可欠です。
上司や先輩、顧客から愛されることが
いち早く経験値を高めるためのカギになる。
何にもできない新人だからこそ
「周囲から可愛がられる社会人になるための土台」を
培って欲しかったのです。
---------------------------------------------------------------------------------------
【 1 】返事の習慣化
とにもかくにも返事、徹底的に返事。
無意識でも、反射的に返事が出るように習慣づけをしました。
「おはよう!」と声をかけたのに
あなたの顔をちらりと見ただけで、相手がうんともすんとも言わなかったら。
無視されたような、もやっとした気持ちになってしまいますよね。
返事も挨拶の一種です。
「返事がない」 =「既読スルー」と同じです。
いいの?
だめなの?
なんなの?
反応が無いと、相手は不安になったり判断に困ったりします。
気持ちのいい返事をする人は、素直で真摯な印象を与えるので
どこに勤めても可愛がられます。
特に新人の頃は、多少出来が悪くて失敗することがあっても
素直さがあれば、多くの指導の機会を得られます。
「理解しています」というメッセージにもなるので
コミュニケーションが円滑になり、仕事を進めやすくなります。
上司や先輩の気持ちで考えてみると分かりやすいですよね。
返事が無いと、たとえ本人に悪気がなくても
指導に対して不満を感じているように映ることもありますし
イラッとさせてしまうこともあるかもしれません。
もちろん、仕事を教えなければならないのは
先輩方も分かってはいますが、そうは言っても暇ではありません。
忙しさに加えて、素直さに欠ける新人だと
可愛げがないと感じて、後回しにしてしまったり
忍耐強く指導するのが億劫に感じて、さじを投げてしまうことだってあるんです。
【 2 】笑顔の特訓
手鏡を持参してもらい、鏡に向かって、笑顔、笑顔、笑顔。
続けること数分。
初日は「顔が痛い…」とあちらこちらから声がもれていました。
表情筋が硬くなっている証拠です。
日に日に、口角が自然にあがるようになり
口元が楽になると、目元が緩み、目が笑うようになり。
研修期間を終える頃には
瞬時に素敵な笑顔を作り、それをキープできるようになりました。
新入社員の頃は、初対面の嵐。
第一印象を左右する、勝負の瞬間の連続です。
そんなとき、自然な笑顔が板についていれば
表情筋がサッと笑顔を作り、第一印象を高めてくれます。
内心は、ドキドキバクバクだったとしても、です。
笑顔は、一種のスキルです。
笑顔だと、相手に好意が伝わります。
人は好意を向けられると好感を抱くので、周囲から愛されやすくなります。
また、微笑むだけで、余裕のある、堂々とした空気をまとうことができます。
---------------------------------------------------------------------------------------
あれから随分月日が流れましたが、春が来るたび彼らのことを想います。
今でも、小気味よい返事をしているだろうか。
自然で朗らかな笑顔を持ち続けているだろうか。
周囲から可愛がられて、多くの成長とチャンスを得て
「今」を懸命に戦っているだろうか。
私がどーーしても彼らに贈りたかった
周囲から愛されるための習慣。
今でも根付いているのだとすれば
大切な社会人生活のスタートに携われた人間として
それほど幸せなことはないなあと思います。
あなたの身近には、気持ちのいい返事のできる方はいますか。
笑顔の素敵な方、いらっしゃいますか。
そういう人がひとりいるだけで、空気がハツラツとして
こちらの気持ちまで明るくなりますよね。
周囲から可愛がられる社会人になるための土台。
習慣にできると、一生涯の武器になります。
年齢を重ねても、大ベテランになっても
我が身を助けてくれるスキルです。
よかったら、周りの方にも教えてあげてくださいね。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
個別相談・個別レッスン、お受けします。
見よう見まねでやってきたけど、このマナーは正しいのかな?
もっと効率的に仕事を進めたい!
あなたのためだけにアドバイスを行います。
https://www.brave-t.com/service/learn/counseling/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━