これまでお届けした「代表取締役の、落とし方。」の中で
経営者のことを【自分の時間の価値の高さを知っている人】と表現してきました。
最終号は、相手の時間を尊重し、相手の時間に敬意を払うための
経営者と仕事をするならば「絶対に外せないポイント」についてお伝えします。
【 3 】 頭を使わせない
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あなたと、部下である佐々木さんのやりとりです。
佐々木さん「課長、ブレイブ商事の案件で問題が発生してしまって。ちょっと相談いいですか」
あなた「いいよ、どうしたの?」
佐々木さん「費用が先払いなら、もっと値引いてくれと言われてしまって」
あなた「うん、それで?」
佐々木さん「 『当社は全てのお客様にそのようにお願いしております』って
伝えたんですけど、値引きしてくれの一点張りなんです。どうしたらいいですか?」
あなた「…」
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あなたなら、何と答えますか?
もし「こんな風に提案して」と指示を与えたとしたら。
この場合、佐々木さんは完全に受け身で、答えを出すことにパワーを使ったのはあなただけです。
指示を出すだけなので、そのやりとり自体は短時間で済ませることができますが
次に問題が起きたときも佐々木さんは繰り返し指示を求めにくるかもしれません。
では、直球では指示を出さず
「佐々木さんはどうしたらいいと思う?」と聞き返して、一緒に答えを導き出したとしましょう。
時間がかかってでも、あなたから質問を投げかけながら佐々木さん自身に考えさせることで
また問題が発生したときにどのように対処すべきか、について考える力を
佐々木さんに身につけてもらうことができるかもしれません。
では、もし「あなた」の立場にいるのが
「経営者」だったとしたら、彼らはどのように対応するでしょう。
答えは
「プラン考えてから出直してきて」と突き返すか
1から100まで指示しないとまだ分からないレベルなんだな、
と思いながら、端的に指示を出す、のいずれかです。
どちらにせよ「佐々木さんは頼りになるな」という印象は抱きません。
経営者の仕事は「決断」することです。
決断した結果、会社に利益をもたらすことが彼らの仕事なのです。
しかしながら彼らは
決済書類にサインしたり、あらゆる会議に招集されたり、緊急のトラブルの対応に追われたり
決断すること以外にも数多くの業務を抱えています。
頭をひねって問題解決のアイディアを出したり
部下に寄り添って根気よく育てたり
それらも大切なことですが
決断よりもそれらの業務を優先すると、会社経営のスピードが鈍ります。
だからこそ彼らは「決断」以外の物事に時間とパワーを注ぐことを望みません。
限られた時間の中で、より多くの決断をくだすことが
経営者である彼らの「やるべきこと」なのです。
ですから、経営者と仕事をするためには
「決断以外のことにパワーや思考、時間を使わせないこと」が重要。
そのための、相手の時間を使うことへの配慮は
彼らから仕事相手として認めてもらうためには不可欠な要素なのです。
■ A又はBで選べるようにする
佐々木さん
「まずは、当社の商品をご導入いただくメリットについてご理解いただけるよう、もう一度説明に行ってきます。
業界大手のブレイブ商事への導入実績ができると、当社としても大きなメリットがあるので
何としてでも逃したくない案件です。
再度の説明でもご納得いただけなかった場合のプランとして、2つ考えました。
製造部にかけあって納期を早めてもらえないか確認し
値引きではなく早期納品で対応できないか調整する、もしくは
今回限りという約束で、半金を前払い、残りを納品後の支払、という形で調整するのはいかがでしょうか。」
あなた「OK、じゃあ前者のプランでいこう。製造部の林さんに事情を説明して」
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冒頭の例ですね。
部下からこんな風に相談があったら、仕事がしやすくありませんか。
■ 相手の欲求に応えるための情報を提供する
平中社長「欲しいけど、高いよね」
あなた「社長~、もうこれがギリギリなんですよ~お願いします!」
↓
平中社長「欲しいけど、高いよね」
あなた「高い買い物だからこそ、安心して長くお使いいただけるようにしています。
当社のサービスの特徴は、業界ナンバー1のアフターサービスの充実です。
動作不良や使い方がわからないときなど、24時間サポートします。 → 情報1
先日、導入前は平中社長と同じようにおっしゃっていた企業様にヒアリングをしてきたので
そちらでの使い方や感想をお伝えしてもいいですか。 → 情報2 」
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社長は「欲しい」とおっしゃっているので
その欲求を満たし「買う決断」をするための情報を提示しています。
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「担当があなただと、サクサク仕事が進む」
経営者がそう感じたならば、それは彼らが
あなたのことを「信頼できるビジネスマン」として認識しはじめた証(あかし)です。
全3回に渡ってお送りしてきた「代表取締役の、落とし方。」いかがでしたでしょうか。
今後も、ビジネスパーソンであるあなたの活躍のヒントになるような情報を
定期的にお届けしてまいります。